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[268]ソルゴーで天敵温存

ソルゴーという緑肥植物があります。

サトウキビやトウモロコシに似た夏の植物で、風除けや農薬の飛散や侵入を防止するために、畑の周りにぐるっと植わっているのを見たことがあると思います。

元気ソルゴー

このソルゴーは害虫防除にも効果がある植物なんですね。
害虫防除といっても、害虫そのものを抑制するのではなく、害虫を捕食する天敵を温存する方法です。こういう天敵温存植物をバンカークロップといいます。

例えば、露地ナス栽培においては、ミナミキイロアザミウマ、タバココナジラミなどの害虫被害が悩ましいですが、これらを捕食するのがヒメハナカメムシ類。

ヒメハナカメムシはアブラムシやアザミウマなどの土着天敵なのですが、ソルゴーをナス畑の周囲に植えておくと、この土着天敵を温存することができるため、長期にわたってナス畑の害虫密度を大幅に抑制することができます。

◆その効果

・ナスの葉や花で土着天敵ヒメハナカメムシの7月下旬以降の発生が多くなる。
・7月中旬以降のナス葉でのアザミウマ類の発生が低密度に抑制される。
・ナス花でのアザミウマ類の発生が低密度に抑制される。
・7月下旬以降に増加するミナミキイロアザミウマの被害果率が抑制される。
・ナス葉でのタバココナジラミの発生が低密度に抑制される。

被害を全く無くすことはできませんが、生産者の省力化、無農薬・減農薬による食の安全、環境保全の観点からこういった土着天敵を利用した防除技術が今後期待されているのです。

露地ナス圃場での天敵温存植物に適した植物としてはオクラ、マリーゴールドフレンチも同様の効果を得ることができます。

温存植物を使う場合、注意点があります。

天敵が増加してくる7月以降は非選択性殺虫剤の使用はしません。
せっかくの天敵を殺してしまうからです。
害虫密度が抑制しきれない時には天敵に影響の少ない選択性殺虫剤を使用してください。

なお、ソルゴーを植えるとアブラムシがたくさん付くので心配になりますが、ソルゴーのアブラムシはナスには付きませんのでご安心ください。

ソルゴーは春夏播き種子で、8月まで播けます。
秋ナスの品質向上に、今からでも間に合います。

無農薬、減農薬栽培の強い味方である土着天敵利用栽培をぜひ実践してみてください。

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