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[313]キレート鉄のハナシ

ちょっと難しそうですが、大事な微量要素「」のハナシ。

※併せて、こちらもご参照ください。理解が深まります。

[311]三価鉄と二価鉄

水耕栽培や養液栽培では、植物の栄養に必要な鉄が安定して植物の根に吸収されるようにキレート化して与えることが一般的です。

なぜかというと、鉄は他の物質と結合しやすい性質があるからです。

鉄は水溶液にした場合、植物に吸収される前に他の物質と結合してしまって沈殿するなど、肝心の植物には吸収されにくいことになってしまいます。
そのため、鉄はキレート化されたものを使うのが普通です。

キレート化とは、簡単に言うと、ほかの物質と結合しないよう「周りを囲ってガードをする物質」と考えるとわかりやすいかも。
キレート化にはEDTAやDTPAなどが使用されます。

・EDTA(エチレンジアミン四酢酸)
・DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)

キレートされた鉄(Fe)は、EDTA-Fe、DTPA-Feとなり鉄の安定性が増します。

キレート鉄

EDTA-Feは鉄の含有が13%、DTPA-Feは鉄の含有率11%です。
でも価格はDTPA-Feのほうが高いのです。
鉄の含有率は11%と低いのに、なぜ?

それは、キレート化されていても鉄の植物吸収性は、溶液のpH(ピーエイチ、ペーハー)に影響されるからです。

pHが低い状態ではキレート鉄の安定性は高いのですがpH 6を超えるようになると安定性が下がり始めます。

EDTAにおいては、pH 6.7程度で安定性は半減し、pH 7以上ではキレートの効果を失います。

一方、DTPAのほうはこのpH状態でも安定性を保つので、使用範囲が広く使いやすいのです。
この差が価格に反映されているのでしょうか。

しかしDTPAであってもpH7.5程度で安定性は半減し、pH 8以上では効果を失います。

水耕栽培や養液栽培において、鉄を使うときは溶液のpHには十分気を使ってください。

なおキレート鉄は、キレート化されていても鉄としては普通に吸収されるのと、キレート化された状態は水溶液中でも長く続くので、自作肥料に使うといいかもです。

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