[266]アンモニア態窒素と硝酸態窒素(2)

肥料の三大要素である窒素。もちろん、りん酸、加里も大事ですが一番の主役がこの窒素です。
よく窒素過多は良くないといわれ、窒素を毛嫌いする傾向にありますが、そもそも窒素がないと植物は生長しません。

多いと弊害がありますが、適量を守れば大丈夫。
もっと窒素を大事にしてほしいと思います。

ところで、この窒素、じつはいろいろな形態があります。

  • 有機体窒素(タンパク質そのものやアミノ酸)
  • アンモニア態窒素
  • 硝酸態窒素
  • 尿素態窒素

タンパク質そのものを除き、これらはすべて植物に吸収されます。

窒素の原料となるのはタンパク質。このタンパク質をアンモニア化成菌が分解し、アミノ酸を経てアンモニア態窒素にまで分解します。

アンモニア態窒素は+荷電されており粘土質の土に保持されますので、雨で流れにくく、肥料の無駄がないとされます。また持続性もあります。

第一リン酸アンモニウム

アンモニア態窒素→持続性がある

このアンモニア態窒素を硝酸化成菌が分解し、硝酸態窒素を生成します。
硝酸態窒素は即効性がありますが、マイナス荷電の為、流亡しやすいです。

硝酸態窒素→即効性があるが流亡しやすい

以前は、窒素は硝酸態窒素にならないと植物は吸収しないといわれていましたが、植物はアンモニア態も硝酸態の窒素も吸収します。

ただし、これは植物の好みによるようです。

アンモニア態窒素を好むのはイネのような湿地性植物や水生植物、ブルーベリーのような酸性土壌好きの植物です。(酸性土壌はもともとは湿地)

植物の進化の過程で、湿地帯や水生植物はアンモニア態窒素が多かったため、アンモニア窒素を吸収します。というか硝化菌が少ないため硝酸態窒素が少なかったのが、その原因です。

一方で、硝酸態窒素を好むもの。代表的なものとしてはダイコン、カブなど多数あります。アンモニア態窒素を好む植物より圧倒的に多いです。

窒素肥料をアンモニア態なのか、硝酸態なのかをきちんと理解して使うと、一歩上達するかもしれません。

例としてハイポネックス微粉の成分…

窒素N:6.5%(内アンモニア性窒素1.0%、硝酸性窒素5.5%)
名称:ハイポネックス複合肥料1号

アンモニア態窒素と硝酸態窒素がバランスよく含まれています。
ハイポネックスは化学肥料ですので、どんな植物でもしっかり効くようにこのような成分比率になっているのです。

 

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