[94]硫安と尿素(2)

窒素肥料といえば代表的なものが硫安と尿素です。どちらも化学肥料で、今日のように有機栽培が盛んでなかった頃、というより化学肥料推奨時代に大量に使われた肥料です。

特に硫安は価格も安く、即効性があるため、農業シーンでも好んで使われてきました。硫安は硫酸根を持つ肥料で、散布すると土壌を酸性化する(土壌内に硫酸を生成する)ため、収穫が終わると石灰で中和することが必須となりました。

苗を植える前に、石灰を撒き、耕してから2週間ほどしてから植付けを行うという習慣は、この硫安を大量に使っていた時代の名残りと思います。今、有機栽培を行っている圃場ではそれほど酸性に傾くことはありませんので、石灰を大量に撒く必要はそれほどないのです。有機栽培では石灰はむしろカルシウム補給という考えで使用します。

さて、この硫安ですが、正式名称は硫酸アンモニアです。アンモニアは窒素成分で水に溶けやすく、即効性があります。撒くと目に見える効果があるので多用しがちですが、強酸性なのでアルカリで補正し、堆肥を入れて地力を落ちさせないことが必要です。硫安は20.5%ほど窒素を含みます。

一方で、尿素。こちらも水溶性の窒素43%ほど含む化学肥料です。尿素は私達からだの中でも生成され、体内の有害なアンモニアを尿素の中に閉じ込めて悪さをしないようにしてくれています。もし、尿素が無かった、私たちの体臭はアンモニアの匂いになってしまうところでした。

その尿素は畑に撒くとアンモニア成分を放出して窒素肥料として働きます。硫酸など酸性根を持たないので、撒きすぎても土壌が酸性に傾くことはありません。強力な肥料なので、根に直接触れないように施用します。

硫安と尿素のどちらがいいかといわれたら、尿素に軍配が上がります。市販の配合肥料には窒素分として化学肥料を使っていますが、一概には言えないものの、安い配合肥料には硫安が使われていることが多く、高い配合肥料には尿素が使われていることが多いです。

《使用上の注意》

硫安…石灰窒素、水酸化苦土、生石灰、消石灰、ケイカル等は混合できない
尿素…大豆油かすと同時施用はできない
※ともにアンモニアガスが発生し、窒素分を失うから。

【関連資材】
「速効性の葉肥」窒素46%粒状尿素1kg
「速効性の葉肥」硫酸アンモニア(硫安)700g

【関連記事】
[72]硫安と尿素
[1222]尿素とは? – 常識ぽてち

Follow me!

(Visited 387 times, 1 visits today)